高額介護サービス費の申請前に知っておくべき!住民税課税所得と負担額のポイント

高額介護サービス費とは?

高額介護サービス費は一言で表すと「自己負担軽減制度」です。

 

「高額介護サービス費」は同じ月に利用したサービスの利用者負担の合計額(介護保険を使った1割~3割の負担額)が高額になり、一定額を超えた場合に申請により超えた金額を「高額介護サービス費」として約3ヶ月後に支給されます。

 

高額介護サービス費は所得区分により自己負担上限額が異なります。所得区分は、住民税課税世帯と非課税世帯に分類されます。さらに住民税課税世帯は、大きくは「現役並み所得者」と「一般世帯」に分かれます。また、令和3年8月から「現役並み所得者」の要件を「課税所得690万円以上」「課税所得380万円以上690万円未満」「課税所得145万円以上380万円未満」の3つに分けています。

 

<高額介護サービス費1ヶ月の自己負担上限額>

【現役並み所得】

  • 課税所得690万円(年収約 1,160 万円)以上

世帯で140,100円が1ヶ月の上限。

  • 課税所得380万円(年収約770万円)以上690万円(年収約 1,160 万円)未満

世帯で93,000円が1ヶ月の上限。

  • 課税所得145万円以上380万円(年収約770万円)未満

世帯で44,400円が1ヶ月の上限。

 

 【一般世帯】

世帯で44,400円が1ヶ月の上限。

 

 【住民税非課税世帯】

世帯で24,600円、ただし、合計所得金額と課税年金収入額が80万円以下の方や住民税非課税世帯で老齢福祉年金受給者等の方は世帯で24,600円、個人で15,000円が1ヶ月の上限になります。

 

令和3年8月分からの高額介護サービス費の見直し(厚労省)

※「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額、「個人」とは、介 護サービスを利用した本人の負担の上限額を指します。

 

※「課税年金収入額」とは、税法上、課税対象の収入となる公的年金等(国民年金、厚生年金など)の収入額です。なお、障害年金、遺族年金などの非課税年金は含まれません。

 

 

※「合計所得金額」とは、収入から必要経費などを控除した額で、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除、基礎控除等の 所得控除をする前の金額です。土地・建物の譲渡所得に係る特別控除額がある場合は、長期譲渡所得および短期譲渡所得 に係る特別控除額を控除した金額を用います。

 

 

高額介護サービス費の課税所得とは?

高額介護サービス費の「課税所得」とは、住民税課税所得です。年金のみをもらっている人の場合、住民税課税所得は公的年金等の収入から公的年金控除等を差引き(これを所得という)、さらに所得控除(基礎控除、社会保険料控除、医療費控除等)を差引いた金額が「課税所得」になります。社会保険料控除や医療費控除等の所得控除が多ければ課税所得は少なくなります。

 

年金のみの人の場合の課税所得までの流れは以下の通りです。

  1. 収入(年金収入)-経費(公的年金等控除額)=所得
  2. 所得所得控除課税所得

所得税の計算時と住民税の計算時では「所得控除」が異なります。

よって、課税所得は自ずと異なります。※

所得税と住民税で所得控除の違うものを一部の紹介です(住民税令和5年度分、所得税は令和4年分の控除額)

  • 基礎控除                   住民税43万円 所得税48万円
  • 配偶者控除 70歳未満の場合          住民税33万円 所得税38万円
  • 配偶者控除 70歳以上の場合          住民税38万円 所得税48万円
  • 配偶者特別控除(上限額)           住民税33万円 所得税38万円
  • 扶養控除  年齢16歳以上19歳未満       住民税33万円 所得税38万円
  • 扶養控除  年齢19歳以上23歳未満       住民税45万円 所得税63万円
  • 扶養控除  年齢23歳以上70歳未満       住民税33万円 所得税38万円
  • 扶養控除  年齢70歳以上の同居の父母等以外  住民税38万円 所得税48万円
  • 扶養控除  年齢70歳以上の同居の父母等    住民税45万円 所得税58万円
  • 障害者控除 一般の場合            住民税26万円 所得税27万円
  • 障害者控除 特別障害者の場合         住民税30万円 所得税40万円
  • 障害者控除 同居障害者の場合         住民税53万円 所得税75万円

所得税と比較して住民税のほうが所得控除額が少ないので課税所得額が大きくなります。

 

 

この住民税課税所得が高額介護サービス費の所得区分で使われています。

 

公的年金しかもらっていない高齢者の多くは、1か月の自己負担上限額は44,400円になるでしょう。国民年民しかもらっていない高齢者であれば、単身世帯では15,000円が上限になっています。

まとめ

高額介護サービス費には所得区分によって上限が違ってきます。

 

収入や所得、課税所得と似たような言葉であり、混乱してしまいますが、定義は確認しましょう。

 

所得とは、収入から必要経費などを控除した額で、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除、基礎控除等の 所得控除をする前の金額です。

 

課税所得とは、所得から所得控除を差し引いた後の金額になります。

 

住民税と所得税では、所得控除の金額が異なっており、住民税の方が少なくなっています。

 

介護費用を軽減するための制度を活用することは大切ですが、それと同時に、将来の財産管理や遺言書の整備も重要なポイントです。

 

特に、介護が必要になった際、どのように財産を管理し、家族間での争いを避けるかは大きな課題です。

 

財産管理が不十分だと、介護費用や相続の際にトラブルが発生する可能性があります。

 

そのため、介護費用の準備に加え、早期に財産管理や遺言書の作成を進めておくことが、将来の不安を軽減するためには不可欠です。

 

今のうちに対策を講じて、将来の不安を少しでも減らしましょう。

 

 

介護費用や財産管理、遺言書の作成についてお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

 

安心して将来に備えられるよう、しっかりとサポートさせていただきます。

 

なお、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。

 

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