介護になっている親がデイサービスに行くのに自家用車のガソリン代は医療費控除の対象?

所得税は、個人が1月1日~12月31日の1年間で得た「総収入-必要経費」=所得、さらに

「その所得-所得控除」=課税所得、「その課税所得×所得税率」=所得税が求められます。

必要経費や所得控除が多くなれば所得税が基本的には少なくなります。

 

さて、医療費控除は必要経費に分類されるのでしょうか?それとも所得控除にあたるのでしょうか?

 

医療費控除は、所得控除のひとつになります。医療費控除とは、納税者本人や納税者本人と生計を一(同居している者や一人暮らしの子どもなど)にする配偶者や親族のために支払った医療費の一定額が、納税者本人の所得から控除されるものです。控除額の上限は200万円です。

医療費控除とは

所得税の確定申告をする期間は、毎年216日から315日(土日の場合は、翌月曜日)です。税金を納めている人であれば、医療費控除を申告することによって所得控除額が増えるため節税効果があります。

 

ただし、迷うのが医療費の範囲等ではないでしょうか。医療費控除は、上記でも記しているように納税者本人または生計を一にする配偶者、親族の医療費を支払ったときが対象です。「生計が一」がポイントです。

 

医療費を支払った人と医療費を出してもらった人との関係で、扶養の有無は関係ありません。例えば、収入のある親の医療費を子供が支払っても医療費控除の対象になります。

 

また、その年の11日から1231日までの間に支払った医療費が対象であり、未払いの医療費がある場合、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。

 

仮に、クレジットカードで支払った場合はどうなるのでしょうか。例えば、令和6年1210日にクレジット払いで医療費を支払って、口座から引き落とされるのが翌年の令和7年127日でした。この場合は、医療費を実際に支払ったのは、病院の窓口で実際にクレジットカードで支払った令和6年1210日になります。

介護費用は医療費控除の対象になるのか?

ザックリ言えば、介護保険サービスにおいて医療系のサービスや医療系と併用して利用した場合などは、医療費控除の対象になります。事業者が発行する領収書に医療費控除の対象となる医療費の金額が記載されています。医療系でない生活支援サービスなどは医療費控除の対象外です。

詳しくは、国税庁のホームページをご参照ください。

介護保険施設の場合 国税庁

【質問1】

要介護3の母親がデイサービスに行くため、父親が自家用車で連れて行ってます。その場合のガソリン代は医療費控除の対象になるのでしょうか。

 

【回答1】

「医療費控除」対象外です。

公共交通機関(バス・電車)などの「人的役務の提供の対価」であれば、医療費控除の対象になります。「人的役務の提供の対価」とは、「他人の労力に対する支払い」です。ガソリン代は「人的役務の提供の対価」ではなく、ガソリンの購入対価になりますので、医療費控除の対象にはなりません。また、タクシー代金は、例外を除き、通常、医療控除の対象にはなりません。

 

【質問2】

ご相談者は現在、無年金の78歳の母親(要介護5:某地方都市、老健入所中)を遠距離介護している息子さん。

息子さんが母親の生活の面倒をみています。

 

数ヶ月に1度、飛行機で母親の様子をみるために帰省するので、飛行機代が大変です。

そこで、この飛行機代は医療費控除できないでしょうか。

 

【回答2】

「医療費控除」対象外です。

通院費が医療費控除の対象になるのは、本人(ここでは母親)が診察・治療を受けるための通院費に限定されています。例外として、介護を必要とする人に付き添う家族の交通費等があります。

あくまでも、診察・治療を受ける目的で病院等に通う交通費でなければ、医療費控除の対象にはなりません。

 

飛行機代であれば、介護割引を航空会社に申請するのがよいでしょう。

通常料金に比べ約4割強安くなります。各航空会社にて詳細をご確認してください。

 

【質問3】

病院に入院している母親を、年末に子供が全員帰省したので、自宅で1日だけ過ごすための許可をとりました。

その時のタクシー代は医療費控除の対象になるのでしょうか。

 

【回答3】

「医療費控除」対象外です。

その理由は、診察や治療に直接関係する費用ではないからです。タクシー代は、あくまでも年末、家族で過ごす目的であり、治療等を受ける目的ではないので対象外になります。

 

なお、医療費控除額は、医療費から保険金などで補てんされる金額を差引いて、さらに10万円(正確には、総所得金額等の5%と10万円のどちらか少ない方)を控除します。上限額は毎年200万円です。医療費控除は年末調整はされませんので、確定申告が必要になります。医療費控除によって所得税や住民税が少なくなります。所得税は所得金額が多い人ほど高い税率を適用して税金を計算するため、医療費控除額が同じでも所得金額の多い人ほど戻ってくるお金は多くなります。一方、住民税は一律10%とされているため医療費控除額の10%くらい少なくなります。

まとめ

介護費用も医療費控除の対象になる場合があります。基本的には、医療系サービスや医療系サービスとの併用の場合に医療費控除の対象になります。また、対象外の事例として、①親がデイサービスに行くのに自家用車でのガソリン代は医療費控除対象外です。公共交通機関(バス・電車)などの「人的役務の提供の対価」であれば、医療費控除の対象になります。なお、「人的役務の提供の対価」とは、「他人の労力に対する支払い」です。ガソリン代は「人的役務の提供の対価」ではなく、ガソリンの購入対価になりますので、医療費控除の対象にはなりません。②遠距離介護における飛行機代も医療費控除お対象外です通院費が医療費控除の対象になるのは、介護になっている人が診察・治療を受けるための通院費に限定されています。例外として、介護を必要とする人に付き添う家族の交通費等があります。あくまでも、診察・治療を受ける目的で病院等に通う交通費でなければ、医療費控除の対象にはなりません。分からないなど詳しくは、税務署に確認しましょう。