子どものいない夫婦の老後設計は?
老後の生活を安心して迎えるためには、経済的な準備と居住環境の選択が欠かせません。
特に子どものいない夫婦の場合、年金や貯蓄の取り崩し方を計画的に考え、将来の暮らしを見据えた住まいの選択をすることが重要です。
老後の生活設計を考える上で、年金制度の理解は避けて通れません。
年金の支給額や受給条件を正しく把握することで、収入の見通しを立てやすくなり、より具体的な生活プランを組み立てることができます。
ただし、年金だけに頼るのではなく、勤労収入や投資による収益を確保することも大切です。
もし経済的な準備が不十分な場合、老後の生活費が増加する中で生活の質が低下し、精神的な負担も大きくなる可能性があります。
そのため、今からでも資産管理の方法を見直し、預貯金だけでなく、国債や投資信託などの運用、さらには保険の活用も視野に入れるとよいでしょう。
多様な収入源を確保することで、老後の支出に柔軟に対応できる可能性が高まります。
適切な資金計画と住まいの選択を行うことで、将来の不安を減らし、安心して暮らせる老後を実現できるでしょう。
老後の住居選びは?住み慣れた「自宅」か高齢者施設か

老後の生活設計を考える上で、住まいの選択は重要な要素の一つです。
自宅に住み続ける場合は、将来的な身体的負担を軽減するための工夫が必要になります。
特に、高齢になると階段の昇り降りが難しくなったり、段差による転倒リスクが高まったりするため、バリアフリー対応のリフォームを検討すると安心です。
一方、自宅を売却して高齢者施設に入居する場合は、資金計画だけでなく、施設の環境や入居者との相性も考慮する必要があります。
施設の雰囲気や生活スタイルが自分に合うかどうかは、事前に把握するのが難しいため、慎重な判断が求められます。
過去には、自宅を売却して高齢者住宅に入居したものの、人間関係の問題から部屋に閉じこもるようになり、ほとんど人と話さなくなってしまったという話もあります。
また、地域によっては救急車の台数が少なく、緊急時の対応が遅れるケースもあるため、周辺環境の確認も重要です。
住み慣れた自宅を手放して新たな環境に移る決断は、人生の中でも大きな選択になります。
後悔しないためにも、今の住まいを活かす方法と、新たな住まいへの移行、それぞれのメリット・デメリットを十分に検討することが大切です。
子どものいない夫婦にとっては特に老後設計は重要
子どもがいない夫婦にとっては、老後の生活設計が特に重要です。
経済的な準備、住居の選択、生活費や年金についてしっかりと考えることで、より安定で安心した老後生活を実現できるでしょう。
将来に不安を感じる方もいるかもしれませんが、計画と準備をすることで、その不安を軽減できるのです。
また、総合的な視点と計画的な生活設計を持つことが、安心して老後を迎えるための鍵であると強調しておきたいと思います。
元気な老後ばかりではない

人生100年時代、元気なときから認知症などで不健康な期間が10年くらいあると想定されます。
子供がいない夫婦は、同時に亡くなる以外は将来的には一人になります。
おひとりになったとき、次のような場合どうしますか?
- 身体が不自由になったときのお金の入出金など細かいお金の管理が心配
- 入院・介護保険の手続きや病院・施設への支払いが心配
- 認知症など判断応力が低下したとき、自分で決めた人にお願いしたい
- 判断応力が低下したときに気付いてもらいたい
- 葬儀、お墓、遺産について自分の希望がある
- 兄弟は同じような年齢なので負担を掛けたくない
- 甥・姪には迷惑を掛けたくないので、専門家に頼みたい
- ご自身が不自由になったときに頼める友人がいる
これらの心配に対して、元気だ判断能力のあるうちに「見守り契約」・「財産管理等委任契約」・「任意後見契約」・「遺言」・「身元引受契約」・「死後事務委任契約」・「尊厳死宣言」などの対策が必要です。
見守り契約

【見守り契約】
元気で判断能力もある方が、定期的に訪問や連絡などして健康状態や生活状況等の様子を見てもらえる契約です。
この見守りサポートにより判断能力が低下したときにすぐに対応できます。私の親も地方(遠距離)で一人暮らしをしていたときがあり、見守りサポートは必須だと実感しました。
当初は、私自身で親の状況は「頻繁に電話して話しているので問題ない」と思っていました。ただ、後々分かったのですが、親は子供に心配を掛けたくないので「元気だよ」しか言わなかったのです。
いつでも様子を見に行ける信頼できる人にお願いするか、専門家等へ依頼しておけば安心です。
また、その他では、次のお話も聞いたことがあります。Aさんは同じマンションのBさんと非常に仲が良く、毎日決まった時間に電話をして、「今日は何時に会おうね」と約束をしていたそうです。
しかも、毎日の日課だそうです。ある日、BさんはAさんと連絡がとれなかったので、急いで部屋に駆けつけたそうです。
そのとき、Aさんは部屋で倒れており、Bさんがすぐに対処したので大事には至らなかったそうです。Aさんは本当にBさんのおかげで助かったと感謝されていました。
この例からも、早く駆けつけられる距離に住んでいる信頼できる人がいるといないかでは命にかかわる可能性があります。
財産管理等委任契約
【財産管理等委任契約】
判断能力ある方が、傷病などにより「車いす生活」や「寝たきり状態」などで自らの財産管理や日常の事務等が困難となる場合に備えて、信頼できる人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約です。
任意後見契約

【任意後見契約】
任意後見契約とは判断能力のある方が、将来、認知症などにより意思表示ができなくなった場合に備えて、財産管理や身上保護を代理してもらう人を予め選んでおくこと(ご自身で信用できる人に依頼する)のできる契約です。
公正証書で結ぶ必要があり、おおよそ2万円~3万円くらい必要になります。また、発効は家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをする必要があります。また、監督人がつくと財産額によりますが、毎月1万円~2万円の費用がかかります。
当然、被後見人の財産を生前贈与や収益物件の購入、相続対策にあてることはできません。
遺言書

【遺言書】
子供のいない夫婦の場合、遺言がないとどうなるのでしょうか。例えば、夫婦どちらかが先に亡くなれば、遺された配偶者は常に相続人になります。
次に、直系尊属(両親)がすでに亡くなっていれば、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になります。
しかも、もし、兄弟姉妹が亡くなっていればその子供である甥や姪が相続人になります。
つまり、場合によっては、全く面識のない甥や姪に自分の財産が渡ってしまう可能性があります。そのためにも遺言が大切です。
遺言がなければ、配偶者に全部の財産が渡らない可能性があるということです。必ず遺言書は書きましょう。
遺言書には、一般的には、自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、形式の不備や内容の不備による無効になるリスクを軽減するためにも公正証書遺言を強くお勧めします。
身元引受契約
【身元引受契約】
入院や施設入所等が必要になったときに、身元保証人を事前に信頼できる人等の第三者に依頼する契約です。依頼する場合は、様々な事業者が参入していますので、信頼できる方にご相談してから決めましょう。
「高齢者等終身サポート事業に関する事業者ガイドライン」が消費者庁から令和6年6月に公表されています。
死後事務委任契約

【死後事務委任契約】
死後の諸手続き、葬儀、埋蔵等に関する事務等を信頼できる人などに依頼しておく契約です。委任する事務内容は、大きく分けると、葬送に関する事務、行政機関への届出等の手続き、生活に関する手続きがあります。例えば、次のような事務になります。
- 医療費の支払いに関すること
- 住居の引き渡しに関すること
- SNSアカウントの閉鎖に関すること
- 家賃、地代、管理費等の支払いに関すること
- 老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関すること
- 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関すること
- 永代供養に関すること
- 相続財産管理人の選任申立手続に関すること
- 行政官庁等への諸届すること
尊厳死宣言公正証書
【尊厳死宣言】
終末期においては、家族が本人の意向を知らないと判断に悩みます。家族の負担を軽減するためにも必ず終末期の医療については、エンディングノートに書いておく等意向を伝えましょう。
回復の見込みのない末期状態に陥ったときに延命治療を選択しないという尊厳死宣言という書面を残します。
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公正証書で作成する「尊厳死宣言公正証書」
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公益財団法人日本尊厳死協会「リビングウィル」
民事(家族)信託
民事(家族)信託とは、「委託者が信頼している人にご自身の財産を託して委託者のために管理・処分をしてもらう手続き」です。
具体的には、財産の所有者である「委託者」がお元気なうちにその財産の名義だけを「受託者」に変更し、その権利は今まで通り「委託者=受益者」が受け取ります。これにより委託者が認知症になった後も変わらず適切な財産管理ができます。
まとめ

子どものいない夫婦の場合、老後の生活設計が特に重要です。
将来的にどこで暮らし、どのような生活を送りたいのか、具体的なビジョンを早めに整理しておくことが安心につながります。
加えて、老後は健康面でのリスクが高まる時期でもあります。
加齢に伴い、生活習慣病やさまざまな疾患のリスクが増えるだけでなく、長寿化により認知症を発症する可能性も高くなっています。
元気なうちから、これらのリスクを見越して準備を進めることが大切です。
たとえば、次のようなポイントについて事前に対策を講じておくと、老後の不安を軽減できます。
- 財産管理の方法(遺言書や信託など)
- お墓や葬儀の準備
- 終末期医療や介護施設選び
これらをしっかり計画しておけば、いざというときに自分らしい選択ができ、周囲に迷惑をかける心配も減ります。
「将来が不安…でも何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひ、当事務所に相談してみてください。
お二人に合った最適なプランを一緒に考えるお手伝いをいたします。
また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。
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