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新NISAは元本割れしないの?

新NISAとは

Aさんから次のようなお話を聞きました。Aさんはいままで、NISAに全く興味がなかったのですが、テレビ、雑誌などでよく聞いたり、銀行などに行ったときにも新NISAを案内されたりしました。

 

2024年からの新NISAは、いままでのNISAと違って、非課税保有期間が無制限となり、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となりました。また、年間投資上限額が360万円まで引き上げられました。

 

Aさんは、全く興味がなかったので、調べてもいませんでしたが、①新NISAでの投資は絶対にお金が増えるのでしょうか、②口座はどこで開設するのがいいのでしょうか、③商品はどうなんだろうと3つの疑問が生じました。今回は、そのうち①のご質問について深堀してみます。

①新NISAは絶対に増えるのでしょうか?

(A)絶対に増えるわけではありません。

NISA(ニーサとは、Nippon Individual Savings Accountでイギリスの制度をモデルにしています)とは、通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。

 

NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益に税金がかからない制度です。

 

例えば、30万円でC株を買って、40万円で売却したとします。そのときの利益は10万円です。通常は10万円の約20%の税金がかかり、8万円が手元に残ります。

 

NISA口座で同じように利益はがでた場合は、8万円ではなく10万円そのものが手元に残ることになります。投資資金が大きく利益が大きいと約20%の税金は大きいです。

 

いままで投資をして、身近に感じている人たちにとって、「非課税」は魅力があるでしょう。初めて投資をする人は、税金がかからないと言っても必ず儲かるわけではないので注意が必要です。

 

今回初めて投資をしようと考えている人は、リスクの高い個別銘柄(株式投資)の投資ではなく、リスクが株式投資に比べて低い投資信託があります。投資信託とは、皆さん(投資家)から集めたお金を運用のプロが株式や債券に投資・運用する商品です。

詳しくは、(一社)投資信託協会をご覧ください。

 

ただし、投資である以上、元本割れの可能性はありますが、リスクを軽減させる方法としては、「長期」「積立」「分散」投資が基本です。

 

投資信託を購入したあとは、なるべく長く保有することで価格変動リスクを軽減することができ、毎月、一定額を積み立てることで時間分散によるリスク分散が期待できます。さらに、投資先を一つの銘柄でなく、複数の地域等に分散することでもリスクを軽減出来るでしょう。

 

若い世代の方は、自宅の購入や教育資金等さまざまなイベントがあり、中高年齢の方は、親の介護費用などの問題もあります。その他にも、リストラや病気等収入が途絶える時期もあるかもしれません。このように長期間になればなるほど、いろいろ予想していないことも起こりうる可能性があります。 

そのため、長期間、継続することが最も難しいかもしれません。しかも、長い間には、投資した金融商品の価値が下落し、数年にわたり下げ相場を形成することもあります。おそらく数年にわたって下落相場が続くと、やっぱり元本保証のある預金の方がよかったと思うこともあるでしょう。

 

金融庁のつみたてNISAの資料の中で、資産・地域を分散して積立投資を行った場合、保有期間が5年であれば、元本割れの可能性があります。一方、20年の場合は、元本割れはなかったことになっています。

 

詳しくは、こちら(金融庁:つみたてNISA早わかりガイドブック)です。

投資を始めるまでに確認を!

投資をする前に、お金の色分けをしてみましょう。

  • 生活費などすぐに使うお金
  • 病気やケガ等、緊急時に備えるお金
  • 自動車の買い替えなど2~3年位以内に確定しているお金
  • 当分使わないお金

病気やケガ等の緊急時にすぐに使えるお金としては、預貯金にしておくのがよいでしょう。もしかしたら、明日、病気になったりしてお金がすぐに必要になるかもしれません。また、ここ2~3年以内に確定しているイベントも投資で準備するのではなく、元本保証の預貯金等がいいでしょう。

 

「当分使わないお金」が投資できるお金です。もし、ここで「当分使わないお金」が捻出できない場合は、まずは、投資よりも毎月の収支を見直すことが重要です。

 

携帯電話代や無駄な生命保険を見直し、固定費を削減しましょう。固定費削減が最も効果的かもしれません。また、変動費も見直すことによって、毎月の収支をプラスにすることが先決です。そのためにも最近は家計簿アプリなど無料で使えるので、積極的に利用して家計を見直しましょう。

まとめ

新NISAを始める前に、毎月の収支がプラスになっているか確認しましょう。プラスでない場合は、NISA等の投資よりも先に収支を改善してプラスになってからNISAを考えましょう。

一方、すでにお金の色分けが終わっている人は、新NISAについて、じっくりと検討してみてはどうでしょうか。短期ではなく、長期にわたって投資することや地域の分散、一定の時期に一定額購入する方法でリスクを軽減して10年後、20年後の資産を形成を考えてみてはどうでしょうか。ただし、投資である以上元本割れの可能性はあることを認識しておきましょう。

※新NISAについては、この一冊。私は、日本経済新聞編集委員・CFP・証券アナリストの田村正之さんの本を愛用してます。

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