猫の寿命から飼い主の死後が心配
Q)猫を飼っているのですが、私(Aさん)の死後が心配です。どのような方法があるのでしょうか。
A)次の4つが考えられます。
- 死後事務委任契約
- 負担付贈与契約
- 負担付遺贈
- 民事信託(家族信託)
2022年、猫全体の平均寿命は15.62歳、外に出ない猫の場合は16.02歳となっています。
(※参照一般社団法人ペットフード協会より)
仮に70歳で猫を飼うと、約90歳近くまでは責任をもって飼育する必要があります。ただ、高齢になると何が起こるか分かりません。病気や介護、しかも突然、襲ってきます。
特に、お一人でペットを飼っている場合、家族同然の猫はどうなるのでしょうか。万一のためにも必ず対策を立ておきましょう。
死後事務委任契約
飼い主であるAさんの死後、親しい友人などに猫のお世話を依頼するものです。なお、猫の飼育には餌代などの飼育費用がかかるため、生前にお金を預ける等の対応をすべきでしょう。
負担付贈与契約
負担付贈与契約とは、受贈者が贈与を受けるとともに、猫のお世話を責任をもって行うという契約を締結します。なお、Aさんが亡くなってから猫のお世話をするのが「死因贈与」といい、Aさんが介護施設等に入居して猫のお世話ができなくなった場合は、「生前贈与」になります。
負担付遺贈
負担付遺贈は、遺言者(Aさん)の単独行為になりますので、受贈者の同意は必要ありません。ただし、家族同然の猫のお世話をしてもらうためには、事前に受贈者の同意は得ておく必要があるでしょう。
民事信託(家族信託)
Aさんを委託者兼受益者として親しい友人等を受託者、二次受益者として受託者と異なる人等を設定します。信託財産は金銭(飼育費用)と猫(法律的には「動産」)とする民事信託契約(家族信託)を結びます。Aさんが亡くなった後も信託契約は継続します。なお、Aさんが亡くなった後のことが心配な場合は、信託監督人をつけることも可能です。
まとめ
家族同然の猫。嬉しいとき、悲しいとき、辛いときにずっと一緒にいてくれた愛猫。飼い主さんは、愛猫が何も言わなくても表情や鳴き方で愛猫の気持ちはわかるのではないでしょうか。飼い主さんにもしものことがあった場合、愛猫はどうなるのでしょう。飼い主さんは、事前に必ず対策を講じる必要があります。死後事務委任契約、負担付贈与契約、負担付遺贈、民事信託(家族信託)のそれぞれの特徴をおさえた上で早急に対応してみてはどうでしょうか。