Q)先日、母親が亡くなりました。相続人は2人です。財産は、自宅のみです。遺産分割するうえでの評価をどうすればよいのでしょうか。
A) 遺産分割をする上では、相続人間の合意が整うのであればどのような評価でも大丈夫です。例えば、正確な価額を割り出したいのであれば、不動産鑑定士に依頼するのも一つです。ただし、費用がかかります。
費用や時間を節約するために、「相続税課税価格」、「固定資産評価額」、「不動産業者による簡易査定」などを参考にして、各人が納得できる価額を決めましょう。
なお、相続税課税との関係では、遺産分割とは異なり、相続人間の協議で自由に決定できません。
宅地の評価は「路線価」と「倍率方式」の2つ
ここからFP試験の過去問の知識が役に立ちます。2024年1月28日実施の2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験の問題58。選択肢1では、宅地の評価方法についてです。
宅地については、「路線価方式」あるいは「倍率方式」の2種類があります。ただし、納税者が任意にどちらかを選ぶことはできず、宅地の所在する場所により決まります。
主に市街地ある地域は「路線価」、路線価が定められていない地域は「倍率方式」になります。選択肢2では、倍率方式について問われています。倍率方式は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算した金額で評価します。
※No.4606 倍率方式による土地の評価(国税庁)
路線価方式での評価額は「路線価×宅地面積(㎡)」
「路線価方式」は、その宅地が面している道路につけられた路線価をベースに計算されます。
評価額は路線価に宅地面積(㎡)を乗じて求めます。
なお、路線価図による評価は国税庁のホームページに記載されています。
https://www.rosenka.nta.go.jp/(路線価図・評価倍率表 国税庁)
路線価図に、矢印になかに550C、520C、530C等が記載されています。これが路線価です。1㎡あたりの価額が千円単位で記載されています。
550Cとは、1㎡あたり55万円です。520Cは1㎡あたり52万円、530Cは1㎡あたり53万円となります。ご参考までに下記ホームページをご参考にしてください。
※https://www.rosenka.nta.go.jp/main_r05/tokyo/tokyo/prices/html/43042f.htm(路線価図・国税庁)
宅地に形状や立地で評価額が調整される
宅地の評価額は、基本的には、この路線価に宅地面積(㎡)を乗じて計算します。なお、宅地の形状や立地に応じて評価額を調整する必要があります。
例えば、正面と側方に路線がある宅地(角地)を評価する場合、各路線価に奥行価格補正率を乗じて高いほうが正面路線価となり、側方路線影響加算額を決定して評価額を計算します。
※No.4604 路線価方式による宅地の評価(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604.htm
FP試験の路線価方式について選択肢3、4で聞かれています。
また、路線価の550Cの「C」は、借地権割合を示しており、借地や貸している土地を評価する際に必要になります。
宅地の評価についてみてきましたが、建物は固定資産税評価額」での評価が基本になります。
まとめ
このようにFP試験の問題は生活にも役に立ちます。
宅地の評価を概略で知りたいときは、路線価のある地域であれば、路線価×宅地面積(㎡)、倍率方式の場合は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて把握してみてはどうでしょうか。
あくまでも概算額を把握するためであり、相続税の計算においては専門家である税理士に確認しましょう。