70代後半になる一人暮らしの方(Xさん)との会話の中で、入院した場合の費用が非常に心配だそうです。
確かに、高齢になればなるほど入院する確率が高く、入院費の負担が気になります。医療保険に加入して備えたほうが良いのか迷っているとのことでした。
収入が、年金収入だけですので、あくまでも支払いのできる範囲内で、医療保険を検討してみるのも一つです。
ただし、民間の医療保険に加入する前に、必ず公的な医療保険である後期高齢者医療制度について理解しておく必要があります。
そのうえで、民間の医療保険の加入を検討しましょう。
民間の医療保険はどう選ぶ?
民間の医療保険には、終身型(有期払い・終身払い)と定期型があります。終身は一生涯、いつでも保障されます。一方、定期型は、あくまでも一定の期間が対象になります。
また、更新型の医療保険においては保険期間中に入院給付金を受け取った場合でも、契約は更新され安心ではあります。持病を持っている人でも、引受基準緩和型の医療保険であれば加入できる場合もありますが、保険料は割高に設定されています。
民間の医療保険を加入検討するにあたっては、入院給付金日額が少なくても、1回の入院の支払限度日数の長い医療保険(長期入院に備えた医療保険)を検討すべきではないでしょうか。
特に高齢者が入院をするのに多い病気が、「脳血管疾患」です。70歳以上で「脳血管疾患」の入院日数は86.9日となっており、約3か月間になります。
ただし、長期入院に対応する医療保険は保険料が高くなりますので、毎月の支払いが可能かどうかを慎重に検討しましょう。
※生命保険文化センター
後期高齢者医療保険とは?
後期高齢者医療保険は75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)の方を対象としています。
自己負担の割合は所得に応じて1割~3割負担です。
入院費の負担を気にしているXさん(所得区分一般)は、自己負担は1割です。また、自己負担額には上限があります。月の1日から末日までの1ヶ月ごとの自己負担額が、【外来+入院】57600円(過去12か月間に4回以上高額療養費の支給があった場合、4回目以降からは44400円)になります。
例えば、Xさんが入院して、1ヶ月の医療費が100万円かかっても、自己負担額は57600円ですみます。ただし、入院時の食費や差額ベット代などは、高額療養費の対象外で全額自己負担(この部分の負担が重い)です。
食費は1食460円ですので、例えば、30日間の入院であれば、約10万円(差額ベット代は病院の都合でやむを得ず利用する場合等は必要なし)です。
入院の短期化が進んでいる今、短期の入院よりも長期の入院リスクに焦点をあてるべきではないでしょうか。
まとめ
入院に備えるために、例えば、Xさんのような年齢の方であれば、毎月7千円~1万円近くの保険料(1入院60日型)を支払うことはどうでしょうか。1年間で8.4万円~12万円になります。この保険料を毎月貯金しておけば、1年間で30日程度の入院はカバーできるのではないでしょうか。なお、保険料は、年齢、性別などによって異なり、年齢や病状によっては加入できない場合があります。
長期入院リスクには、民間の医療保険に加入を検討するか、毎月医療保険に加入したと考え、別口座に貯金しておくのも一つです。
どうしても貯金ができない場合には、強制的に毎月一定額を積み立てる「積立定期預金」等を利用するのも一つの方法です。
保険料は、あくまでも支払いのできる範囲内で検討してはどうでしょうか。