老人ホームの見学時までと見学時の確認事項

突然の介護!老人ホーム選び失敗

老人ホームを探すきっかけは、親が介護になったときでしょうか。例えば、親が突然、脳梗塞で倒れ、回復期リハビリテーション病棟退院後、自宅では介護できないので、施設はどうしようか。

 

そのときに比較的安価な介護保険施設がすぐに入所できればいいのですが、一杯で入所できないなどの場合は、頭がパニックになって、「どこでもいいからすぐに入れる施設」を手あたり次第探すでしょう。

 

このパターンは後悔する可能性があります。

 

十分に検討することなく、手っ取り早く有料老人ホームを決めてしまうと、例えば、「親が施設の雰囲気に合わなくて元気がなくなり、認知症が進行したり」、「実は、経営基盤が脆弱な事業者で突然、親会社が変わったり」、「毎月の利用料にプラスの費用があったり」等、もう少し検討すればよかったと後悔するでしょう。

 

急ぐ気持ちは当然なので、施設を慎重に決めたい旨をケアマネジャーに伝え、よく相談して、決まるまでの間は、ショートステイを使ったりする等検討してみたらどうでしょうか。また、終活支援をしているファイナンシャルプランナーや終活ライフケアプランナーなどの専門家に相談しましょう。

 

 ※参考 MY介護の広場・老人ホームを探す【老人ホーム入居理由をアンケート調査!年齢・介護度・施設の種類・決め手を公開】

 

有料老人ホームの費用は安くないので、慎重に検討することをお勧めします。

老人ホームの費用

有料老人ホームの入居を考えたときに、まずは予算です。原則、親の介護費用は親の財産から捻出するので、親の年金や資産から見積もる必要があります。どうしても足りない場合は、子どもがいくら支援できるか話し合うことが大切です。

 

仮に、80才父親の年金が(手取り)240万円で、預貯金が2000万円と仮定した場合、有料老人ホーム代は毎月いくらが目安になるでしょうか。

 

簡易的にシミュレーションすると次のようになります。

100歳まで存命と仮定。預貯金2000万円を20年間で取り崩すので、年間100万円

預貯金2000万円÷20年=100万円

 

年金が240万円なので100万円を加えた340万円が支出できる金額です。

 

毎月340万円÷12ヵ月=約28万円になります。ただし、突然の出費、施設の原状回復費、引っ越し代、葬儀代、成年後見費用などは加味していません。仮に年間36万円の予備費を計上すると毎月の利用額は約25万円が上限になります。

 

※参照 あんしん なっとく 有料老人ホームの選び方 資金計画

 

老人ホーム選びの情報サイト

予算を頭に入れて、希望施設の場所などから老人ホーム検索サイトで調べましょう。

 

老人ホーム検索サイト

LIFULL 介護」

https://kaigo.homes.co.jp

「みんなの介護」

https://www.minnanokaigo.com/search/tokyo/

「介護サービス情報公表システム」厚生労働省

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp

 

公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」

https://user.yurokyo.or.jp/search

 

これらのサイトから情報をピックアップして資料の請求、重要事項説明書、見学の日程などを決めましょう。東京都の場合は、東京都福祉局の重要事項説明書一覧表から見ることができます。

※東京都福祉局 東京都有料老人ホーム重要事項説明書一覧

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/shisetu/yuuryou/jyuuyoujikou/index.html

 

 

取り寄せた資料を簡単にまとめる

取り寄せた資料と重要事項説明書から候補の施設の特徴と費用などを簡単に一覧表にす

る。これである程度整理できるとともに最低限の情報を家族で共有できます。

 

(例)

  • A有料老人ホーム(介護付き)

事業主体 株式会社●●

住所 東京都××、JR荻窪から徒歩15分

費用 一時金300万円 毎月の費用30万円(~35万円:5万円加算した場合)

介護費用は別であり、そのほかにアクティビティやおむつ代などもかかる場合があるので、おおよそ5万円くらいを加算しておくのも一つです。

職員体制「31」

入居率「90%」

平均年齢と要介護度 「年齢群の確認85歳以上が入居者の9割」、「要介護度3以上が約5割」など

特徴 「24時間看護師駐在」、「こだわりの食事」、「広くて充実した共有スペース」など

 

  • B有料老人ホーム(住宅型)

事業主体 株式会社●●

住所 東京都××、JR●●から徒歩5分

 

 費用 一時金200万円 毎月の費用25万円(~30万円:5万円加算した場合)

介護費用は別であり、そのほかにアクティビティやおむつ代などもかかる場合があるので、おおよそ5万円くらいを加算しておくのも一つです。

職員体制「31」

入居率「85%」

平均年齢と要介護度 「年齢群の確認85歳以上が入居者の8割」、「要介護度3以上が約6割」など

特徴 「協力医療機関との連携」、「話しやすい介護スタッフ」、「駅から近い」など

老人ホームの見学

老人ホームの見学当日は、利用者本人と家族の方等複数で見学しましょう。所要時間はケースバイケースとは思いますが、私が老人ホームを見学したときは2~3時間くらいは余裕でかかりましたので、半日くらいは時間をとっておいたほうがいいでしょう。

 

また、お伺いしたときに施設内で見たい場所は遠慮なく伝え、事前にまとめておいた質問事項などを担当者や施設長に確認します。必ず確認したことは、聞き流すのではなく記録(日時、担当者、天気など)しておくことです。今後の予期せぬトラブルが起こったときに証拠にもなります。

 

見学後は家族間で再度資料を持ち帰って、すべてを満たす施設はないので、優先順位をつけて候補の施設を絞り、必ず体験入居をすることをおすすめします。

 

※参照 東京都福祉局 あんしん なっとく有料老人ホームの選び方

 

まとめ

老人ホームを探すきっかけは突然「親が介護になった」が多いのではないでしょうか。在宅での介護が難しい場合は、施設介護の選択になるでしょう。すぐに入れる施設があればすぐに決めてしまうかもしれません。ただ、注意が必要です。「親が施設の雰囲気に合わなくて元気がなくなり、認知症が進行したり」、「実は、経営基盤が脆弱な事業者で突然、親会社が変わったり」、「毎月の利用料にプラス料金があったり」等、もう少し検討すればよかったと後悔する可能性があります。急ぐ気持ちをグッと抑えて、慎重に施設選びをすることをお勧めします。

老人ホームを選ぶ際には、老人ホームの情報サイトで情報を集め、事前準備をするとともに、見学当日は五感をフルに働かせてしっかりと確認しましょう。

 

※有料老人ホームを選ぶ際の注意点などが厚生労働省や各自治体(一例)でもホームページに記載されています。