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介護費用の予測シミュレーションと資産運用 part1

この記事は、将来の親の介護費用が心配な方に向けて書いた記事です。ぜひご参考にしてください。

 

介護は、お金だけでなく、介護になった人、介護をする人、想像を絶するほど辛いです。当時、母親が要介護3になったときに、何を食べてもおいしくないし、食欲もないと言っていたのを思い出します。特に元気な頃は、外食を楽しみにしていたのですが、全く外で食べることも嫌がっていました。そのためにも、介護にならないようにしっかりと健康管理を怠らないようにしましょう。

さて、介護になった場合、費用がいくらかかるのでしょうか。

 

介護になる原因や要介護度、在宅介護、施設介護、さらには、施設介護でも公的施設なのか有料老人ホームなどの民間施設に入居するのかでも費用は異なります。仮に、一人くらいの70歳母親の事例を検討してみましょう。仮に10年後に脳卒中等で倒れた場合どうなるでしょうか。急性期病院から回復期リハビリ病院を経て、いざ「退院」となったときが介護のスタートになります。

 

在宅介護を選択するのか、施設介護を選ぶのか費用面でのシミュレーションをしてみましょう。

介護サービス概算料金の資産 厚生労働省

在宅・施設による毎月の介護費用

単身世帯。近くに子どもが住んでおり、再々訪問できる環境。毎月の老齢基礎年金と老齢厚生年金をあわせて年金約14万円、他に収入なしと仮定。要介護3 預貯金がなし。

シミュレーション①

在宅介護3年した後に、要介護5となったため、特養に入所。

在宅介護では、住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用が平均47万円かかっています。※生命保険文化センター 2024年度生命保険に関する全国実態調査より

在宅介護では、外出する機会も減ることで、電気代などは元気な時に比べて多くかかると思われますが、上記では勘案していません。また、特養に入所した場合は、毎年赤字となり、医療費などの緊急資金が発生したときには、お母様の資金では対応できません。自宅を売却知るときにも、仮に、認知症などで判断能力がなければ、自宅の活用もできずに子どもの支援が必要になります。

シミュレーション②

在宅介護を選択せずに、特養に入所した場合は、どうでしょうか。特養などの公的介護保険施設には補足給付という「食費・居住費」が軽減される制度がありますが、今回の場合は、お母様は住民税課税世帯となり対象外です。なお、障害者手帳や障害者控除対象者認定書を交付してもらえば、お母様の年収であれば補足給付の対象になります。

上記同様、子どもの支援は必須になってきます。

シミュレーション③

特養もいっぱいで入所できなかった場合、1年間だけ有料老人ホームに入居して後は特養に入所する場合はどうでしょうか。

有料老人ホーム代を含めて大幅な赤字です。

資産運用で対策を検討してみましょう

上記の場合、10年後に親が介護になったときに、200万円くらいを準備したい場合どのような資産運用を検討したらよろしいでしょうか。あくまでも親の介護費用の準備であるため、過度なリスクはとりたくありません。

シミュレーション①~③で10年後に用意しておきたい金額を200万円と設定しました。仮に、子どもさんが親の介護費用のために200万円を貯金のみで準備するとすれば、毎月16,700円弱積み立てる必要があります(タンス預金とした場合)。

  • 毎月1.5万円を2%で10年間複利運用した場合→199万円
  • 毎月1.4万円を3%で10年間複利運用した場合→196万円
  • 毎月1.35万円を4%で10年間複利運用した場合→199万円
  • 毎月1.25万円を5%で10年間複利運用した場合→194万円

※参照 金融庁つみたてシミュレーター

 

4%で運用すると毎月3,000円強違ってきます。さらに、仮にお母様が介護にならなかった場合で期間をもっとのばせるとどうなるでしょうか。

  • 毎月1.5万円を2%で20年間複利運用した場合→442万円
  • 毎月1.4万円を3%で20年間複利運用した場合→460万円
  • 毎月1.35万円を4%で20年間複利運用した場合→495万円
  • 毎月1.25万円を5%で20年間複利運用した場合→514万円

仮にお母様が介護にならなければ、ご自身の介護費用も準備できたことになります。

ただ、リターンがあるということはリスクもあります。どのくらいリスクをとれるのかを検討する必要があります。投資は当然、上がったり下がったりするのが常です。また、元本保証ではありませんので、預貯金と同じ感覚で考えてはいけません。あくまでも余力資金で積み立てていきます。次回は

このケースの資産配分について検討していきます。

仮に、高額介護サービス費が適用できる所得の場合

仮に、お母様が年金収入80万以下(年金収入のみ)だった場合は、高額介護サービス費考慮後の金額になります。 

負担が軽くなる制度としては、税関係で医療費控除・障害者控除があります。また、医療と介護ともに負担になった場合には、合算制度もありますので、詳しくは専門家などに確認してみましょう。

まとめ

介護費用は、在宅で行うのか、施設で行うのかで違ってきます。また、施設介護であっても特別養護老人ホームのような公的介護保険施設なのか有料老人ホームなのかでも費用が異なります。介護費用をシミュレーションして、どのようにして介護費用を準備するのか最も重要です。子どもが支援する場合は、資産運用をすることで効率的に準備することもできるでしょう。ただ、元本を保証という投資商品はありませんので、リスクとリターンを考えたうえで資産配分を決めていきましょう。また、介護費用だけではなく、教育資金や住宅資金、ご自身の老後資金を含めた総合的な検討する必要があります。次回は、資産配分についてになります。