介護費用の予測シミュレーションと資産運用 part2

この記事は、将来の親の介護費用が心配な方に向けて資産運用で準備場合に、資産配分をどうすべきかについて書いた記事です。ぜひご参考にしてください。

リスク許容度とは

投資を始める前に、自分のリスク許容度を理解することが大切です。

 

これは『どれくらいの価格変動に耐えられるか』という、自分の投資の方向性を決める重要なポイントです。

 

投資の世界でいうリスクとは、資産の価格がどれくらい上下に変動するか、つまり値動きの幅のことです。

 

例えば、100万円の資産を持ち、平均2%のリターンを期待できる場合でも、その資産は上がったり下がったりします。リスクが5%の場合、約95%の確率で92万円~107万円の間に収まると予測されます。

※こちらを参考にしてください。

【保守型】

  •  元本割れを防ぐことを最重視。
  • 安定志向の方におすすめ。

【安定型】

  • 価格変動を抑えながら、安定的な運用を目指す。
  • 多少のリスクを取れる方に適している。

【積極型】

  • 短期的な価格変動を許容しながら、将来的な資産の高成長を目指す
  • 市場の変動に強い心理的耐性が必要。

なぜリスク許容度が必要か

資産運用を始める際、避けて通れないのが「リスク」です。

 

たとえば、株式市場では株価が1日で数%上下することがあり、資産価値が急激に変動する可能性があります。また、特定の企業が倒産した場合、投資した資金を全て失うリスクもあります。

 

このように、資産運用にはさまざまなリスクがありますが、代表的なものには以下の3つが挙げられます。

  • 市場リスク:価格変動による損失のリスク
  • 信用リスク:企業の経営破綻による損失のリスク
  • 流動性リスク:資産をすぐに現金化できないリスク

これらのリスクに対処するためには、自分自身の「リスク許容度」をしっかりと理解することが重要です。リスク許容度とは、「どれくらいの価格変動に耐えられるか」を示す指標であり、適切な投資戦略を選ぶ基準になります。

 

たとえば、自分のリスク許容度が低い場合は、元本が安全な商品を選ぶ方が良いでしょう。一方、高いリスクを受け入れられる人は、成長性のある商品を検討することができます。

 

投資を始める前に、まず自分のリスク許容度を見極めることが大切です。そのためには、目標や資産状況、投資期間などを整理し、自分に合った資産配分を考えましょう。

 

最初の一歩として、専門家のアドバイスを受けたり、簡単な診断ツールを活用するのも良い方法です。適切な準備をすることで、安心して資産運用をスタートできます。

親の介護費用をどう準備する?

前回の記事の例で、10年後をめどに親が支援を必要とする状況を想定し、200万円を用意する方法を考えています。

 

具体的には、毎月の積立額と想定運用利回りを比較してみます。

  • 毎月 1.65万円 を10年間貯蓄 → 約198万円(利回り0%)
  • 毎月 1.5万円 を2%で10年間複利運用 → 約199万円
  • 毎月 1.4万円 を3%で10年間複利運用 → 約196万円
  • 毎月 1.35万円 を4%で10年間複利運用 → 約199万円
  • 毎月 1.25万円 を5%で10年間複利運用 → 約194万円

このように、運用利回りが3~4%を実現できれば、タンス預金より少ない元本で目標額に近づけることが可能です。さらに、親が介護を必要としなかった場合は、そのまま運用を続けることで、ご自身の老後資金として活用することもできます。

 

長期的な運用は、資産形成の重要な手段となります。例えば、運用利回りをおおむね4%程度目指す場合、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券に25%ずつ配分する方法があります。これは、GPIF(日本の公的年金を運用する機関)の資産配分と同じ考え方であり、リスクとリターンのバランスを取った運用方法です。2023年度のGPIFの相関係数・リターン・リスクを参考に試算

資産運用するときの注意点

投資にはリターンだけでなくリスクも伴います。例えば、2023年度のGPIFの資料によると、リターンは4%、リスクは12.32%とされています。

 

これは、100万円を投資した場合、約95%の確率で資産価値が 79.36万円~128.64万円 の範囲に収まることを示しています。つまり、期待リターンがある一方で、元本割れの可能性もあるという点に注意が必要です。

 

このようなリスクを踏まえ、投資を始める前には 家計を黒字化 することが重要です。投資は、生活費や緊急資金を確保した上で、余剰資金で行うのが大原則です。

 

具体的には、10年ほど使う予定のないお金を余剰資金とし、それを元に投資を行うことで、リスクを抑えた資産運用が可能になります。

期待収益率年2%

期待収益率年3%

期待収益率年5%


※2023年度GPIFの各資産クラスのリターン・リスク・相関係数を参照して筆者にて作成

まとめ

介護費用を効率的に準備するためには、預貯金、資産運用、民間の介護保険といった方法を活用することが考えられます。それぞれに特徴があり、目的に応じて適切な選択をすることが大切です。

 

たとえば、預貯金は安全性が高い一方で、インフレリスクがあるため長期的な資産形成には向きません。資産運用ではリターンが期待できますが、価格変動リスクを伴うため計画的な管理が必要です。

 

また、民間の介護保険は将来の費用を保障する手段として有効ですが、毎月の保険料負担が発生します。これらの方法を上手に組み合わせることで、介護費用を効率的に準備することができます。

 

特に資産運用を行う場合には、自己のリスク許容度を理解していることが重要です。リスク許容度とは、自身がどの程度のリスクを受け入れられるかを指します。

 

資産運用を成功させるためには、余剰資金(今後10年程度使う予定のないお金)を運用に回すこと、分散投資を行いリスクを抑えること、運用成果を定期的に確認し必要に応じて資産配分を見直すことが必要です。リスクを適切に管理することで、安定した資産形成が可能となり、介護費用の準備も有益な方法になるでしょう。