高齢者にとって、資産運用は重要なテーマです。しかし、年齢を重ねるにつれてリスクに直面する可能性も増えます。この記事では、高齢者が安心して資産を運用するためのポイントを解説します。
リスクを小さくするためのポイント
- 低リスク商品を選ぶ
高齢になると、資産の損失を取り戻す時間が限られています。そのため、一般的には低リスク商品への投資が重要です。
例えば、個人向け国債や格付けの高い社債などは安全性が高いとされています。一方で、国内株式や外国株式といった高リターン商品への投資はリスクが伴うため、慎重に検討する必要があります。
- 資産の分散を実施する
一つの商品やカテゴリに資産を集中させると、値下がりした際に大きな損失を被る可能性が高まります。これを避けるために、資産を分散させることが大切です。
例えば、国債、国内株式、外国株式、外国債券など、さまざまな商品や地域に分散投資を行いましょう。
- 買う時期・売る時期も分散する
投資信託で毎月積み立てを行うなど、購入のタイミングを分散させることで購入単価を平均化できます。一度に大量に購入すると、高値で買ってしまい損失を被る可能性があります。
また、売却の際も一度で売却せず、タイミングを分散することを検討してみてください。
- 仕組みが分からない商品は購入しない
複雑な仕組みの金融商品が増えていますが、「自分で他人に説明できない商品には投資しない」ようにしましょう。理解できない商品はリスクを正確に判断することが難しいためです。
- 投資に回して良い金額や割合を決めておく
高齢者は投資において「時間」という重要な要素が限られています。そのため、損失を挽回できる機会が少ないことを認識し、投資に回す金額や割合をあらかじめ設定し、投資目的を明確にしましょう。
投資詐欺やトラブルを防ぐためのポイント
令和6年5月29日独立行政法人国民生活センターよると、「SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増」しており、相談件数が2023年度は2022年度に比べて約9.6倍となっています。
相談事例としても3つの事例が取り上げられています(以下引用)。
- 有名経済評論家の投資相談に参加したところ、アシスタントを名乗る人に次々に投資を勧められ、総額 1,500 万円を振り込んだが出金できない。
- 有名投資家がノウハウを発信すると謳っていたが、その有名投資家は関与しないものだったうえ、投資額を勝手に決められて違約金も請求された。
- 「絶対に負けない投資家を知っていて自分も投資で儲かった」という有名投資家の姪から勧められて FX 取引を始めたが、連絡が取れなくなった
消費者へのアドバイスとしても次のように記載されています。
- SNS上で勧誘を受けた場合は、まず疑ってみるようにしましょう
- 投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です。振り込まないでください
- 被害回復が難しいため、安易に投資資金を振り込むことは控えましょう
- 不審に思ったら、すぐに消費生活センター等に相談しましょう
このように国民生活センターより注意喚起がされています。
※詳しくは、SNSをきっかけとして、著名人を名乗る、つながりがあるなどと勧誘される金融商品・サービスの消費者トラブルが急増―いったん振込してしまうと、被害回復が困難です!― 国民生活センター
を参照ください。また、政府広報オンラインからも注意喚起されています。
投資においては、「絶対に儲かる」「元本が必ず戻る」といった表現は信用してはいけません。そのような約束をする勧誘は、詐欺の可能性が高いため特に警戒が必要です。
また、投資の成果には一定のリスクが伴うことを理解し、冷静に判断を下しましょう。
まとめ
一般的には、高齢になると、資産運用におけるリスクを小さくすることが重要です。低リスク商品の選定、分散投資の実施、年齢に応じた資金計画の作成などを行うことで、安全な資産運用が可能になります。
また、詐欺やトラブルを防ぐためには、信頼できる情報源を活用し、商品の特性を十分に理解することが大切です。加えて、投資の成果を焦らず、長期的な視点で計画を立てることが安心につながります。
さらに、「絶対的な保証」に対する警戒心を持ち、投資に伴うリスクを理解することが、老後の安心を確保する鍵となります。