最近、親の介護について考え始める人が増えています。
40代~50代の方の中には、「そろそろ親の老後に備えないと…」と感じている方も多いのではないでしょうか?
特に、親が生命保険や葬儀の話をし始めたり、物忘れが増えたり、体調の変化が目立ってきたりすると、「介護のこと、そろそろ考えたほうがいいのかな?」と不安になることも。
そんな時に大切なのは、焦らずに少しずつ準備を始めることです。
この記事では、「親の介護を考え始めた今、できること」 や 「介護費用について知っておくべきポイント」 をわかりやすくお伝えします。
早めに準備をしておけば、いざという時に慌てずに済みます。
一緒に考えながら、無理のないペースで進めていきましょう!
親の状態を正しく把握する
まず最初に、親の健康状態や生活環境をしっかり把握することがとても大切です。
年齢を重ねると、少しずつ体力が落ちたり、病気にかかるリスクも高くなります。
ある人から聞いたお話の中で「年を1歳取ると病気が1つ増え、お金が減っていく」と言われていましたが、まさにその通りだと思います。
もし、親がすでに何か病歴がある場合は、医師の診断書を取り寄せて現状を確認するのも一つの方法です。
また、認知症の兆候が見られることもあります。
認知症の初期症状としては、物忘れが増えたり、日常生活の中で判断力が低下したりすることが挙げられます。
こうした兆候を見逃さず、早めに専門的な相談を受けることが介護に備えるためにはとても重要です。
でも、親に「認知症かもしれないよ」と言っても、なかなか受診してもらえないことも多いですよね。
そんなときは、例えば「75歳になったらみんな受診しなきゃいけないんだよ」といった理由でも、受診を促すことが大切です。
少し工夫して、親にとって納得しやすい方法で受診をすすめましょう。
介護のための資金計画を立てる

介護を考える上で最も大切なのは、介護費用に備えることです。
実際、介護には予想以上に多くの費用がかかることがあります。
たとえば、介護保険料を払っているからといって、国がすべて面倒を見てくれるわけではありません。
自己負担は年金収入などにより、介護サービス費の1割から3割かかります。
それだけでも負担に感じるかもしれませんが、問題はそれだけではありません。
すべてのサービスが公的介護保険の対象になるわけではないのです。
例えば、配食サービスやデイサービスの食事代やおやつ代、自宅の草むしり、ペットのお世話などは介護保険の対象外です。
また、介護保険を使える上限額も要介護度ごとに決まっており、その上限を超えると、超えた分は100%自己負担になります。
さらに、この超過分には高額介護サービス費の適用もありません。
高額介護サービス費とは、月々の自己負担が一定額を超えた場合に戻ってくる制度ですが、一般世帯であれば、1カ月44,400円が限度額となります。
加えて、有料老人ホームに入居する場合、入居一時金や月々の費用が必要になりますし、おむつ代などの追加費用も発生します。
特別養護老人ホームなど比較的安価な施設でも、毎月6万円~15万円ほどの費用がかかりますが、おむつ代が不要であるため、負担感は少ないかもしれません。
また、軽減制度があるため、該当者には助かる部分もあります。
このように、公的介護保険だけではすべての費用をカバーするのは難しいため、個人での資金準備が求められます。
基本的には、介護費用は親の年金収入や資産から支払うことになりますが、家族間で親の財産や収入についてしっかりと把握し、どこまで使えるかを確認しておくことが大切です。
もし親の年金だけでは足りない場合、どのようにお金を準備するかを考える必要もあります。
今から介護費用に備えるための資金計画を立てることは、将来の不安を軽減するための第一歩です。
あなたの家計全体を見直し、必要な資金をどう確保するかを考えることが、介護に備えるための重要な準備となります。
少しずつ計画を進め、安心して将来に備えましょう。
〈要介護1の場合、在宅介護でいくら?〉
ほんの一例(概算)です。実際は、ケアマネジャーがアセスメントをしてその人にあったケアプランを立てます。保険の範囲内を希望。
- 訪問介護を週2回
- デイサービスを週2回
1割負担の場合は、約月額8,500円です。
〈要介護3の場合、在宅介護でいくら?〉
ほんの一例(概算)です。実際は、ケアマネジャーがアセスメントをしてその人にあったケアプランを立てます。保険の範囲内を希望。
- 訪問介護を週4回
- 訪問看護を週1回
- デイサービスを週3回
- 訪問入浴を週1回
- 福祉用具
1割負担の場合は、約月額26,000円です。
また、概算が知りたい場合には、MY介護「介護の備え」のサイトも参考にしてください。
介護施設の選択肢を理解する
介護が必要になった場合、親を自宅で介護するか、施設に入れるかという選択を考えることになります。
自宅での介護は、親が慣れ親しんだ環境で過ごせるという点で魅力的ですが、肉体的・精神的に大きな負担がかかることがあります。
特に、フルタイムで働いている場合や、家庭内でサポートが難しい場合は、介護施設を考えるのも一つの方法です。
介護施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、いくつかの種類があります。
それぞれに特徴があり、入所条件や費用も異なります。
親にとって最適な施設を選ぶためには、事前にしっかりと調べて、比較することがとても大切です。
例えば、特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の方が対象となりますし、地域によってはすぐに入所できないこともあります。
もし入所できない場合は、一時的にサービス付き高齢者向け住宅や、介護老人保健施設、有料老人ホームを利用する方法も考えなければなりません。
また、仮に有料老人ホームに入居する場合は、契約内容や重要事項説明書などをしっかり確認し、わからないことがあれば積極的に施設の担当者に質問して納得してから決めることが大切です。
急いで決めたい気持ちはわかりますが、後々「思っていた費用と違った」「親の様子が変わった」といったトラブルを避けるためにも、家族全員でしっかりと検討することが重要です。
親にとって一番良い選択をするために、焦らず迅速に考えましょう。
〈要介護3の場合、特別養護老人ホームでいくら?〉
実際は、施設との契約になり加算などがあり金額は異なります。
- 施設サービス費(1割の場合)27,415円
- 居住費 約61,980円(2,066円/日:ユニット型個室)
- 食費 約43,350円(1,445円/日)
- 日常生活費 約10,000円(施設により設定されます。)
1割負担の場合は、約月額142,745円です。

親の財産管理と遺言書の準備
介護を考える中で、親の財産管理も重要な課題となります。
親の財産を適切に管理することが、今後の介護や相続のトラブルを防ぐために不可欠です。
親が高齢になると、判断力が衰えたり、認知症が進行する可能性があります。
そのため、早いうちから親と一緒に財産管理や遺言書の作成を進めておくことが望ましいです。
遺言書を作成しておくことで、万が一の際に相続を巡る争いを避けることができます。
また、親の財産や保険、年金などの情報を整理し、家族で共有しておくことも重要です。
将来、親が認知症や病気で意思疎通が難しくなった場合に備え、あらかじめ話し合いを持つことをお勧めします。
遺言書を作成しておくことで、万が一の際に相続を巡る争いを避けることができます。
遺言書を作るなら、公正証書遺言が一番安心です。公証役場で作成するので、法律のプロが作成するため、後々トラブルになりにくいからです。
ただ、すぐに公正証書遺言を作る時間が取れない場合は、まずは自筆証書遺言を用意しておくという方法もあります。
一時的なものでも、あるのとないのとでは大きな違いがあります。
ただし、公正証書遺言を作成した後は、以前に書いた自筆証書遺言を破棄することを忘れないようにしましょう。
複数の遺言書があると、どれが有効なのか分からなくなり、かえって家族が混乱してしまうこともあります。
また、親の財産や保険、年金などの情報を整理し、家族で共有しておくことも非常に重要です。
親の財産の状況が分からないと、子どもとしてどのくらい金銭的に支援すればいいのか全く分からず、突然「◯◯円送ってほしい」と言われても、余裕がなかったり、どこまで支援すべきなのか悩んでしまうこともあります。
ですが、親も「子どもに心配をかけたくない」と思って、財産のことを話してくれないことが多いです。
そうは言っても、認知症などで判断が難しくなってしまった場合には、事前に情報を共有しておくことが家族全体の安心につながります。
もし親が病気や認知症で判断が難しくなったとき、何も分からないままだと、手続きを進めるのも大変になってしまいます。
このようなことから、家族で早めに話し合いを持つことが大切です。
難しく考えすぎず、「親のお金や老後のことを一緒に考えていこう」という姿勢で話を進めると、親も安心して話しやすくなるかもしれません。
さらに、親が認知症になったり、判断力が低下した場合に備えるために、民事信託(家族信託)や任意後見制度を活用することも考えておくとよいでしょう。
民事信託(家族信託)は、親の財産を子どもや信頼できる家族に財産管理を任せる仕組みです。
たとえば、親が判断能力を失っても、事前に決めた人が親の財産を管理できるようになります。
また、任意後見制度は、親が元気なうちに「もしも認知症などで判断能力がなくなったら、この人に財産管理等をお願いする」と契約しておく制度です。
この制度は、裁判所に任意後見監督人の申立てをする必要があります。
いずれも親が元気なうちに自分の財産をどう管理したいかを決めておくことが大切です。
家族で話し合い、早めに準備を進めておくと、将来に備えるための安心感が得られるでしょう。

介護に関する軽減制度などを把握する
まとめ
よくある質問(FAQ)
- 遺言書はどのように作成すればよいですか?
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。法的に有効な遺言書にするためには、内容や書き方に注意が必要です。
特に、公正証書遺言は法律のプロである公証人が関与するため、形式ミスがなく安心です。
- 相続税がかからない場合でも、遺言書を作る必要はありますか?
はい、必要です。相続税が発生しなくても、財産の分け方を巡って家族間で争いが生じることがあります。
不動産や預貯金の分割について明確な指示を残すことで、トラブルを防ぐことができます。
- 遺言書がないと、相続はどうなりますか?
遺言書がない場合、遺産分割協議を行うことになります。
しかし、遺産分割協議がまとまらずトラブルに発展することもあります。
- 生前対策としてできることは何ですか?
遺言書の作成に加えて、「民事信託」「生前贈与」「生命保険の活用」などの方法があります。
特に、認知症などで判断能力が低下すると意思表示が難しくなるため、早めの準備が重要です。