親の介護が終わり、お葬式や相続手続きが無事に終わった時、ほっとした気持ちとともに、なぜかさみしさが込み上げてきます。
悲しみに浸る時間もなく、やるべきことが次々と目の前に現れ、あっという間に時間が過ぎていきました。
親が亡くなったことが実感としてわかるのは、こうした一連の手続きが終わった後のことです。
今になって、親との思い出がふと蘇ることがあります。
あの時もっと話をしておけばよかった、あの時もっと一緒に過ごせばよかったという後悔が、心の中で渦巻いていきます。
特に、親が元気な時には、正月やお盆など、限られたタイミングでしか帰省しなかった自分に対して、もっと頻繁に帰っておけばよかった、もっと長い時間を一緒に過ごしておけばよかったという思いが強くなります。
帰省することができる時間を少しでも作って、もっと多くの思い出を作っておけば良かったと思い返すことがよくあります。
日常の忙しさに流されてしまい、後回しにしてしまっていた自分に対して、今更ながら悔いが残るのです。
親が元気なうちにもっとコミュニケーションを取って、もっと多くの時間を共に過ごすことができたのではないかと、今でも時折考えさせられます。
こうした後悔の気持ちに浸る時間もなく、あっという間に介護や相続の手続きが終わり、また日常に戻っていくのです。
相続財産の活用方法を考える

親の介護が終わり、そして相続の手続きが無事に終わった後、多くの方が感じるのは、心にぽっかりと空いた穴のようなものです。
大切な人を失った寂しさを実感した後に、相続財産をどう使うかという現実的な問題が目の前に立ちはだかります。親から引き継いだ実家や預金をどう活用するかが直面する問題です。
例えば、実家を売却して現金化した場合、何にそのお金を使うべきか考えるのは簡単ではありません。
預金のままで置いておくと、今後インフレなどで貨幣価値が下がるリスクもあります。
あなたの人生が長いことを考えれば、今後、医療費や介護費用、さらには認知症リスクなどにも備えておく必要があります。
そのため、相続財産をどう運用していくか、慎重に考えるべきタイミングが来ていると言えるでしょう。
資産運用を始めるべきタイミングと方法

親からの相続財産をそのまま預金にしておくのは、もったいないと感じるかもしれません。
もし、10年以上使わないお金があるのであれば、そのお金を投資に回すことを検討してみてはいかがでしょうか。
特に、NISA(少額投資非課税制度)など、税制優遇がある制度を活用することで、資産をより効率的に運用できます。
とはいえ、投資にはリスクが伴うため、元本割れのリスクをどの程度許容できるかが重要な判断ポイントとなります。
もしリスクを避けたいのであれば、個人向け国債や定期預金、低リスクな債券投資などを選択肢として考えることも可能です。
しかし、これらの運用では大きなリターンは望めないため、将来のライフプランやリスク許容度をしっかり見極めることが大切です。
介護費用を考慮した資産管理

介護費用や医療費に備えるためには、早い段階で資産の運用を始めておくことが重要です。
資産があれば、万が一、介護が必要になった時に備え、安定した生活が送れることに繋がります。
民間の介護保険に加入するかどうかは個々のライフスタイルや資産状況により異なりますが、掛け捨ての保険料を無駄にすることなく、投資に回すという方法もあります。
例えば、NISAに積立投資枠に列挙されている投資信託などを利用すれば、コストが安くて長期的に見て安定的なリターンを得ることができます。
シミュレーションを行い、将来の介護費用を見越した資産運用計画を立てることが大切です。
お金を守るための対策

さらに、介護や認知症に備えるための対策も必要です。
判断能力が低下した場合に備え、信頼できる人に「任意後見制度」をお願いしておくことが重要です。
任意後見制度は、本人が自分の意思で後見人を指定できる制度で、認知症などで判断能力が低下しても、後見人により契約に従って財産の管理や身上保護をしてもらえます。
この制度を利用することで、全く知らない人が後見人ではなく、自分の選んだ人に財産を管理などをしてもらえます。
なお、後見監督人には専門職が就くためランニングコストが発生します。
また、民事信託も有効な選択肢です。
特に、不動産を所有している場合、民事信託を活用すれば、将来的に家族間で柔軟な財産管理ができます。
ただし、初期費用はかかりますが、家族の協力を得ながら、安心して財産を守り続ける方法として非常に有効です。
遺言書とエンディングノートの重要性

60代を迎えた今、遺言書を作成することを強くお勧めします。
自分の意思を元気なうちに記録しておくことで、もしもの時に家族が困ることがなくなります。
遺言書は何度でも書き直すことができるため、気持ちが変わればその都度、書き換えればいいのです。
日付の古い遺言書と日付の新しい遺言書は新しい遺言書は有効になります。
つまり、日付の新しい遺言書と古い遺言書との間で内容が矛盾しているときは、新しい遺言書をもって、古い遺言書を撤回したものとみなされます。
また、遺言書を作成することに抵抗がある場合は、エンディングノートを活用するのも一つの方法です。
エンディングノートは、法的効力はありませんが、家族に対して自分の希望や考えを伝える手段として有効です。
特に、葬儀や介護に関する希望を事前に伝えておくことで、家族にとっても非常に助けになります。
まとめ
60代からの資金計画は、今後の生活を安定させるために非常に重要です。
介護費用や医療費、さらには認知症など、将来のリスクに備えた運用方法をしっかりと考えておくことが、安心した生活への第一歩となります。
また、親から相続した財産をどのように活用するかは、非常に重要な判断となります。
自分に合った最適な方法を見つけ、将来の安心を作り出すために、ぜひ今から計画を始めてみませんか?
もし、資産運用や財産管理・相続に関するご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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✅ 介護費用をどこから出すのか決めている(親の資産・子どもの援助など)
✅ 親の銀行口座や財産を管理する方法(家族信託・成年後見など)を考えている
✅ 親が認知症になったときの財産管理・手続きをどうするか決まっている
✅ 介護施設に入る場合の費用や条件を調べたことがある
✅ 介護費用の公的支援制度(高額介護サービス費・税控除など)を理解している
✅ 兄弟姉妹と介護費用や負担について話し合ったことがある
✅ 介護が必要になったとき、誰が主に対応するのか家族で合意している
✅ 親と「介護が必要になったときの希望」について話したことがある
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