· 

80代の親を持つあなたへ。介護費用を軽減するための「制度」と「将来対策」の重要性

「親の介護費用がかさんで家計が苦しい」「できるだけ制度を活用して費用負担を減らしたい」

そんな悩みを抱えている方は、少なくありません。

 

実際、介護保険サービスの自己負担や施設の入所費用、医療費など、介護にかかるお金は決して安くはありません。

 

特に、介護が長期化すれば、年間100万円を超えることも珍しくないのが現実です。

 

そのため、まずは「費用を少しでも軽くできる制度を知りたい」と思うのは自然なことです。

 

たとえば、高額介護サービス費制度医療費控除障害者控除など、活用できる制度はいくつかあります。

 

これらを利用すれば、一定の負担軽減は期待できます。

 

ただ、こうした制度は誰でも必ず使えるわけではありませんし、仮に使えたとしても、「今の費用を軽くすること」だけでは、本当の安心にはつながりにくいのが実際のところです。

制度では解決できない「将来のリスク」

介護費用の悩みは、多くの場合、「今の負担をどうにかしたい」という思いから始まります。

 

私自身もかつてはそうでした。

 

当時、介護に関する書籍はいまみたいに多くなく、ネットで情報を集め、40ページ程度の小冊子を1万円強で購入したこともあります。

 

また、介護者支援の団体にも参加し、様々な情報を得ようと努力しました。

 

しかし、その先に隠れた大きなリスクに気づいている方は、意外と少ないかもしれません。

 

それは、「親のお金が自由に使えなくなるかもしれない」というリスクです。

 

介護が始まったからといって、すぐに親のお金が使えなくなるわけではありません。

 

ですが、もし親が認知症などで判断能力を失うと、預金の引き出しや不動産の売却といった手続きが、できなくなります。

 

 

実際、介護の主な原因として最も多いのは認知症です。※参考 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

 

認知症などで判断能力が低下した場合、介護施設の入居一時金や在宅介護のためのリフォーム費用など、まとまった費用が必要になった際に、「親のお金なのに自由に使えない」という状況に直面するご家族は少なくないでしょう。

 

このような場面では、子どもが一時的に自分のお金を立て替えなければならないこともあり、生活に余裕がない中で経済的な負担を感じることが多いのです。

今こそ考えたい「3つの将来対策」

親御さんの介護に向き合うとき、将来の不安や負担を少しでも軽減するために、今から準備しておくことが大切です。

 

そこで、安心して介護に向き合うためにおすすめしたい3つの対策をご紹介します。

 

任意後見契約

任意後見契約は、親御さんの判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人(例えば、子ども)が親御さんの財産管理や介護契約などを行えるようにする仕組みです。

 

元気なうちに契約を結んでおくことで、いざというときにスムーズに財産を守り、親御さんの意向に沿った対応ができます。

 

民事(家族)信託

民事信託は、親御さんの財産を特定の家族が管理・運用できるようにする信託契約です。

 

任意後見契約よりも柔軟に財産を管理・活用でき、例えば「自宅を売却して介護費用に充てる」といった形で、必要に応じて財産を有効に活用できます。

 

親御さんが安心して暮らせるよう、柔軟な管理方法を確保できる一方、身上保護の役割はないため、任意後見制度と併用することも検討してみましょう。

 

遺言書の作成

相続に関する争いを避けるために、遺言書の作成をおすすめします。

 

親御さんが何も決めていなかったために、兄弟間で争いが起きることがよくあります。

 

特に介護に関わった家族と、関わらなかった家族との間で不公平感が生まれることがあります。

 

遺言書を残しておくことで、そうした争いを未然に防ぎ、相続手続きをスムーズに進めることができます。

介護費用の軽減は「制度」+「将来対策」のセットで

介護費用の負担を減らすためには、短期的な視点と長期的な視点の両方が必要です。

 

まずは、国などの制度を最大限に活用して、できる限り今の費用負担を軽減することが重要です。

 

それと同時に、「親のお金が使えなくなるリスク」や「家族間トラブルによる余計な出費」を防ぐために、将来に向けた備えを講じておくことが、安心につながります。

 

実際、国などの軽減制度を活用しつつ、任意後見や家族信託、遺言書の作成を検討される方もいらっしゃいますが、どの対策が最適かはご家族の状況や考え方によって異なります。

 

例えば、民事信託を選んだ結果、期待していた通りに進まなかった場合もありますので、慎重に検討し、ご家族の状況に最適な方法を選ぶことが大切です。

 

介護費用の問題は、「今」のお金だけでなく、「将来」への備えも含めて考えることが重要です。

 

ご希望の方には、ご家族の状況に合わせた具体的な対策プランを一緒に検討し、ご提案しています。

 

まずはお気軽にご相談ください。

 

メディア掲載実績
私のコメントや情報提供を行った記事が、以下のメディアに掲載されています。詳しくはこちらをご覧ください。

親の介護、準備できていますか?チェックリスト10

「親が後期高齢者になったけど、何を準備すればいいかわからない…」

そんな方のために、今すぐできるチェックリストをご用意しました!

 

親の年金額と貯蓄額を把握している

親が要介護になった場合、どのくらいの費用がかかるか試算したことがある

介護費用をどこから出すのか決めている(親の資産・子どもの援助など)

親の銀行口座や財産を管理する方法(家族信託・成年後見など)を考えている

親が認知症になったときの財産管理・手続きをどうするか決まっている

介護施設に入る場合の費用や条件を調べたことがある

介護費用の公的支援制度(高額介護サービス費・税控除など)を理解している

兄弟姉妹と介護費用や負担について話し合ったことがある

介護が必要になったとき、誰が主に対応するのか家族で合意している

親と「介護が必要になったときの希望」について話したことがある

 

5つ以下の方へ

介護費用や生前対策が不十分な可能性があります。

いざというときに困らないために、今のうちに対策を進めましょう!