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介護費用、心配なら「誰がどう負担するか」を今、話そう。

親の介護がまだ始まっていない段階でも、「いざというとき介護にどれくらいお金がかかるんだろう?」という不安を抱える方はとても多いです。

 

検索すれば「平均月額」「入居一時金」「平均介護期間」など、金額の目安はたくさん出てきます。

 

しかし、私がご相談を受けていて感じるのは、「いくらかかるのか」以上に大事なのは、「誰がどうやってそのお金を出すのか」という点です。

 

親の年金で賄うのか、子どもが支援するのか、実家を売って資金にするのかなど。

 

介護は長期戦になることが多く、最初に費用の分担について何となく決めたまま進んでしまうと、途中で揉めたり、経済的な負担感が積み重なったりするケースも少なくありません。

 

特に、きょうだいがいる場合は「自分ばかりが負担している」と感じると、その後の関係にも影響が出ます。

 

朝日Reライフ.net「親の介護が必要になったら?負担を軽くするコツとトラブル解決策」


お金の話は、元気なうちだからこそできる

介護に限らず、「お金の話」はできるだけ避けたいというご家庭は多いのですが、親が元気なうちだからこそ、冷静に話し合えるという側面があります。

 

いざ介護が始まり、入退院や施設の手続きが重なる中では、落ち着いて負担のルールを話す余裕はなかなか持てません。

 

また、親自身も「自分のお金がどこまで介護に使われるのか」「家や預金はどうなるのか」といった心配を抱えていることがあります。

 

子どもが、なんとなく親のお金を使い始めるより、事前に「こういうふうにお金を使わせてもらうね」と一度でも話しておくだけで、親も安心しやすくなります。

 

その際、きょうだい間での合意を取っておくこともとても大切です。

 

お金の出所がはっきりしていないと、「あのときのお金は相続の前渡しなのか?」「返してもらうつもりだったのに…」といった誤解や不信感を生む原因になってしまいます。

 

理想的なのは、親のために使ったお金を都度、全員でLINEなどで領収書をカメラで撮って共有することです。

 

オープンに情報を共有することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

 

しかし、この方法には手間がかかるという理由で難しい面もありますので、たとえば1週間単位などで、使ったお金の明細をまとめて共有する方法でも効果的です。

 

情報が共有されていないと、誤解や疑念を生む原因になります。

 

こうした些細な不透明さが後に大きなトラブルに発展することがあるため、きょうだい間でしっかりと情報を共有することが非常に重要です。


ライフプランで「全体像を見える化」する

介護にかかるお金は、月々の支出だけでなく、住まいの変更、通院・付き添いにかかる交通費、時間的な拘束による収入減少など、さまざまな費用が発生します。

 

これらは、経済的な面だけでなく、精神面や肉体的な面にも大きな影響を与えます。

 

重要なのは、これらを単発的に見るのではなく、「家計全体にどのように影響するか」を見える化することです。

 

一度、エクセルなどを使って、全体の流れを目に見える形にすることが大切です。

 

たとえば、生命保険に加入する際、提案書という形で目に見えるものを通して保険の内容が示されますよね。

 

保険そのものは目に見えませんが、提案書にして具体的に示すことで、納得しやすくなります。

 

これは介護にかかる費用に関しても同様で、目に見えない部分をしっかり見える化することが重要です。

 

さらに、単純に「いくらかかる?」という点だけではなく、「親の収入と資産でどこまで自立した生活が続けられるのか」「子どもが支援する場合、どの程度が現実的か」を一緒に考えることが大切です。

 

ここで重要なのは、「どこまで家族で対応するか」と、制度や公的介護保険サービスや保険外サービスを使うのかのバランスを取ることです。

 

必要に応じて、家計への影響を最小限に抑えるために、公的制度(高額介護サービス費、障害者控除、医療費控除など)を積極的に活用することが重要です。

 

これにより、介護にかかる経済的な負担を軽減し、家計に与える影響を最小限に抑えることができます。

 

さらに、将来的に資産凍結や相続トラブルを回避するためにも、任意後見制度や家族信託、遺言書の作成といった対策を視野に入れることが必要です。

 

これらの制度を適切に活用することで、親の意思を尊重した資産管理や相続が実現し、万が一の事態にも備えることができます。

 

ライフプラン作成の際に大切なのは、単に「現在の家計」を見直すだけではなく、仮に介護が始まり、認知症などで意思能力が低下した場合などを想定し、預金の引き出しや自宅の売却ができなくなることも考慮に入れることです。

 

こうした点を総合的に検討することで、将来に備えることができます。

 

ライフプラン作成が単なる家計の見直しに終わらず、将来的なリスクにも備えるための重要なステップとなるのです。


「想定していた未来」に向けて準備するということ

介護費用のことを考えるのは、できれば避けたいことかもしれません。

 

しかし、「まだ介護が始まっていない今だからこそ」できる準備がたくさんあります。

 

負担を分け合うルールやお金の流れ、親の希望などは、「元気なうち」にこそ決められるものです。

 

また、決めたことを合意書などで紙面にしておけば、忘れることもありません。

 

この合意書を作成する過程で、十分に話し合い、コミュニケーションを図ることができ、お互いに理解し合える効果もあります。

 

この合意書は、懲罰を目的としたものではなく、お互いの背景を十分に理解し合い、柔軟に見直すことができるようにするためのものです。

 

お互いが内容を忘れないためにも、定期的に確認し、見直していくことが重要です。

 

自分自身の老後にも、きっと同じことが起こるだろうと考えると、今このタイミングで「どう備えておくか」を考えることは、未来の自分を助けることにもつながります。

 

お金の話は、冷たいことではありません。むしろ、お互いを思いやるからこそ、きちんと話しておくべきことなのです。


まとめ

親の介護費用について、何から考えたらいいのかわからない、そんな不安を抱えていませんか?

 

介護に向けた準備は早ければ早いほど安心です。

 

しかし、いざ準備を始めようとしたときに、どこから手をつけてよいか分からないことも多いでしょう。

 

そんなときは、ぜひご相談ください。

 

制度や費用に関する知識はもちろん、「家族での話し合いをどう進めたらいいのか」といった実践的なサポートまで、お手伝いさせていただきます。

 

お金の流れや負担の分け合い、親の希望を尊重した合意形成など、将来に向けた具体的な対策を一緒に考え、サポートします。

 

どうぞお気軽にご相談ください。

 

また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。

 

メディア掲載実績
私のコメントや情報提供を行った記事が、以下のメディアに掲載されています。詳しくはこちらをご覧ください。

 

【最近のご相談例】

・介護費用がどれくらいかかるのか不安(50代女性)

・親の遺言書・生前贈与について(40代男性)

・資産運用について基本を整理したい(60代女性)など

 

【過去の一部の相談事例】

・介護費用に関連する補足給付について(50代女性)

・医療費控除の概要について(50代女性)

・親の有料老人ホームの費用に関するキャッシュフロー表作成(50代夫婦)

・親の収入や資産から子どもへの援助に関するキャッシュフロー表作成(50代女性)

・親の保険と介護費用に関するご相談(50代女性)

・自宅の民事信託の活用と概要について(50代男性)

・所得控除と介護費用の関連について(60代女性)

・金融機関の解約手続きについてのご相談(60代女性)

・遺産分割協議書の作成に関するご相談(60代女性)

・親の介護費用と一時払終身保険の活用について(50代女性)

・老後資金のキャッシュフロー表作成(60代男性)

・年金受給に関するご相談(60代男性)など

 

※初回20分無料相談受付中です。お気軽にご連絡ください。



親の介護、準備できていますか?チェックリスト10

「親が後期高齢者になったけど、何を準備すればいいかわからない…」

そんな方のために、今すぐできるチェックリストをご用意しました!

 

親の年金額と貯蓄額を把握している(はい・いいえ)

親が要介護になった場合、どのくらいの費用がかかるか試算したことがある(はい・いいえ)

介護費用をどこから出すのか決めている(親の資産・子どもの援助など)(はい・いいえ)

親の銀行口座や財産を管理する方法(家族信託・成年後見など)を考えている(はい・いいえ)

親が認知症になったときの財産管理・手続きをどうするか決まっている(はい・いいえ)

介護施設に入る場合の費用や条件を調べたことがある(はい・いいえ)

介護費用の公的支援制度(高額介護サービス費・税控除など)を理解している(はい・いいえ)

兄弟姉妹と介護費用や負担について話し合ったことがある(はい・いいえ)

介護が必要になったとき、誰が主に対応するのか家族で合意している(はい・いいえ)

親と「介護が必要になったときの希望」について話したことがある(はい・いいえ)

 

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