親の介護が現実味を帯びてきたとき、多くの人がまず感じるのは「お金の不安」です。
介護にかかる費用は、家計に与えるインパクトが大きく、先が見えないからこそ不安も大きくなります。
そんなとき、インターネットで「ファイナンシャルプランナー 介護」と検索する人が少なくありません。
「誰に相談していいかわからないけれど、介護とお金のことは専門家に聞きたい」。
そんな気持ちの表れでしょう。
今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)が介護に関して何ができるのか、そして何ができないのか。
相談を検討している方に向けて、FPの役割を分かりやすくお伝えします。
FPができること!介護にかかるお金の「見える化」

ファイナンシャルプランナー(FP)がもっとも得意とする分野のひとつが、「介護にどのくらいお金がかかるのか」を明確にすること、すなわち「見える化」です。
介護にかかる費用は、ご家族の状況や希望によって大きく異なります。
たとえば、親が自宅での介護を希望しているのか、将来的に施設への入所を考えているのかによっても、費用には大きな差が生じます。
さらに、特別養護老人ホームなどの公的施設を選ぶのか、有料老人ホームなどの民間施設を検討するのかによっても負担額が変わります。
要介護度や認知症の有無、必要な介護サービスの種類など、条件が異なると、必要な支出も異なってきます。
こうしたさまざまな条件を丁寧に整理した上で、FPは介護保険制度や高額介護サービス費制度などの公的支援も含めて、年間どれほどの費用がかかるのかを具体的に相談者と一緒にシミュレーションします。
親御さんの年金でどこまでカバーできるのか、預貯金や資産の取り崩しをどう活用するべきかといった現実的な視点をもって、今後の見通しを立てていくのです。
また、単に介護費用だけにとどまらず、家計全体の収入・支出・貯蓄・資産の状況を把握しながら、数年間にわたる支出の流れを予測することも可能です。
民間の保険に加入している場合は、その保障内容の見直しも行い、保険の必要性や活用方法についてもアドバイスします。
このように、介護の不安に対して「数字で未来を見せてくれる」ことが、多くの方にとって最も大きな安心材料となっているのです。
FPができること!家計の見直しや資金準備のアドバイス

「親の介護が必要になったが、このままの家計で乗り切れるのだろうか?」という不安を抱えている方は少なくありません。
そうした時、FPは第三者の立場から冷静に家計を見直し、改善の糸口を探ります。
たとえば、保険料が過剰になっていないか、使っていない銀行口座に眠っている資産がないか、日常の支出の中で見直せる項目がないかなど、丁寧にチェックを行います。
加えて、これからのために準備すべき資金や、積立・取り崩しの優先順位といった「お金の使い方の順番」についても整理します。
もし、新たに貯蓄を始める必要がある場合や、資産運用によって備える場合、あるいは保険を見直す必要があるときでも、FPは保険や金融商品を販売する立場ではなく、中立なアドバイザーとして寄り添います。
特に、独立系のFPであれば、特定の商品を勧めることなく、公平な目線で提案ができるのが特徴です。
もちろん、相談は無料ではなく、時間単位の相談料や顧問契約の費用が発生しますが、その分、相談内容に応じた純粋なアドバイスを得られるという点で、大きな信頼になります。
FPができること!幅広い分野に対応

介護のお金の問題は、単に今の家計や費用の問題だけでなく、将来的な財産管理や相続といったテーマとも密接に関わっています。
特に、親が認知症を発症したあとに銀行口座が凍結され、子どもが生活費を引き出せなくなったという事例は、決して珍しいことではありません。
FP(ファイナンシャル・プランナー)は、将来の介護や相続に関するお金の問題について、認知症になる前の備えとして何ができるのかを一緒に考える存在です。
たとえば、家族信託や任意後見制度、遺言書の作成といった選択肢を挙げ、それぞれの一般的な制度の特徴やメリット・デメリットを丁寧に説明しながら、ご家庭に合った方法を一緒に検討します。
行政書士の資格を併せ持つFPであれば、これらの制度を実際に進める際の書類作成や手続きのサポートも可能です。
制度の選び方だけでなく、実務的な部分まで寄り添えるのが、FPの大きな強みといえます。
さらに、相続税対策についても、FPのサポートを受けることができます。
たとえば、資産全体を見渡しながら、一般的な税負担を抑えるための工夫や、相続人同士のトラブルを防ぐための分割方法などについて、事前に相談することができます。
ただし、具体的な税額の計算や申告業務などは、税理士の領域となるため、その点は留意が必要です。
「まだ元気だから大丈夫」「相続なんてもっと先のこと」と思われる方も少なくありませんが、実際には、そうした準備は「元気なうち」にしておくことが何よりも大切です。
あとから慌てて対応するのではなく、余裕のある時期にこそ備えておくことで、家族全体が安心して日々を過ごせるようになります。
漠然とした不安でも構いません。
FPという中立的で気軽に相談できる存在がそばにいることで、その不安が少しずつ「安心」に変わっていきます。
早めの一歩が、将来の大きな安心につながるのです。
FPにできないこと!個別具体的な税務相談など

FP(ファイナンシャル・プランナー)にも、「できないこと」があります。
例えば、介護サービスに関して、どのサービスを選ぶべきか、どのようにサービスを組み合わせるべきかといった具体的な判断は、ケアマネジャーの専門分野です。
FPは、あくまでもご相談者の方針や予算をもとに、中長期的な資金計画を立てる役割を担っています。
したがって、介護サービスの選定に関与することはありません。
また、医療的な判断や治療方針に関しても、当然、FPの専門外となります。
相続をめぐるトラブルがすでに発生している場合、FPの立場では対応できません。
このようなケースでは、弁護士に相談することが必要です。
たとえば、相続人間での争いや、遺言書の内容に関する問題が発生した場合には、法律的な対応が求められるため、FPの対応範囲を超えることになります。
FPの役割は、あくまでも「予防」と「設計」に特化しており、問題が起きる前の段階での備えを支援することに重きを置いています。
仮に、相談者がすでにトラブルを抱えている場合には、適切な専門家につなぐ「橋渡し役」となることが、FPにとって重要な役割の一つです。
さらに、どこまでがFPの対応範囲で、どこからが他の専門家の領域なのかを明確に案内することも、安心して相談できる体制づくりには欠かせません。
このように、FPが対応できることと対応できないことを正しく理解しておくことも大切です。
たとえば、有償・無償を問わず、具体的な税務相談や税務代理行為、税務書類の作成などは税理士の独占業務にあたるため、FPが行うことはできません。
FPが提供できるのは、あくまで一般的な税制の説明や、仮の事例を用いた税金の簡易的な試算にとどまります。
したがって、詳細な税務計算や正式な申告業務が必要な場合には、税理士などの専門家と連携することが求められます。
さらに、遺言書作成や相続手続きなど、法律に関わる事務もFPの業務範囲には含まれません。
これらは、法律の専門家である弁護士などに依頼することが求められます。
また、金融商品取引業者として登録を受けていないFPは、具体的な有価証券の投資助言を行ったり、相談者から投資判断の一任を受けて運用を行うこともできません。
FPの立場はあくまで中立であり、投資に関する具体的なアドバイスを行うことはありません。
その他にもできないことがありますので、確認してみましょう。
まとめ

「FPに相談しても本当に役に立つのか不安だったけれど、相談してよかった」
そう思っていただけるようなサポートを、常に心がけています。
相談を迷っていた方が一歩踏み出し、現実的な数字を見て、気持ちを整理できたとき。
そんな瞬間に立ち会えることが、FPとして何よりうれしいことです。
介護とお金の問題は、家庭によって事情も背景も異なります。
一人で抱え込まず、まずは話してみることから始めてみませんか?
当事務所では、ファイナンシャルプランナーとしての支援に加え、行政書士業務も対応しています。
遺言書や財産管理に関する書類作成など、法的な手続きが必要な場面でも、一貫したサポートが可能です。
介護やお金にまつわる心配ごと、どうぞ安心してご相談ください。
また、介護が始まる前に、今できる備えを整えておけば、将来に不安を感じることなく親の介護を進めることができます。
財産やお金の管理も整理されていれば、万が一の時にもスムーズに対応できます。
今から準備を始めて、介護とお金の不安を解消し、将来に備えたしっかりとしたプランを作りましょう。
もし今、親の介護が心配なら、ぜひ一度「介護とお金のそなえプラン」を検討してみてください。
あなたとご家族の未来の安心をサポートします。
また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。
メディア掲載実績
私のコメントや情報提供を行った記事が、以下のメディアに掲載されています。詳しくはこちらをご覧ください。
【最近のご相談例】
・介護費用がどれくらいかかるのか不安(50代女性)
・親の遺言書・生前贈与について(40代男性)
・資産運用について基本を整理したい(60代女性)など
【過去の一部の相談事例】
・介護費用に関連する補足給付について(50代女性)
・医療費控除の概要について(50代女性)
・親の有料老人ホームの費用に関するキャッシュフロー表作成(50代夫婦)
・親の収入や資産から子どもへの援助に関するキャッシュフロー表作成(50代女性)
・親の保険と介護費用に関するご相談(50代女性)
・自宅の民事信託の活用と概要について(50代男性)
・所得控除と介護費用の関連について(60代女性)
・金融機関の解約手続きについてのご相談(60代女性)
・遺産分割協議書の作成に関するご相談(60代女性)
・親の介護費用と一時払終身保険の活用について(50代女性)
・老後資金のキャッシュフロー表作成(60代男性)
・年金受給に関するご相談(60代男性)など
※初回20分無料相談受付中です。お気軽にご連絡ください。
親の介護、準備できていますか?チェックリスト10

「親が後期高齢者になったけど、何を準備すればいいかわからない…」
そんな方のために、今すぐできるチェックリストをご用意しました!
✅ 親の年金額と貯蓄額を把握している(はい・いいえ)
✅ 親が要介護になった場合、どのくらいの費用がかかるか試算したことがある(はい・いいえ)
✅ 介護費用をどこから出すのか決めている(親の資産・子どもの援助など)(はい・いいえ)
✅ 親の銀行口座や財産を管理する方法(家族信託・成年後見など)を考えている(はい・いいえ)
✅ 親が認知症になったときの財産管理・手続きをどうするか決まっている(はい・いいえ)
✅ 介護施設に入る場合の費用や条件を調べたことがある(はい・いいえ)
✅ 介護費用の公的支援制度(高額介護サービス費・税控除など)を理解している(はい・いいえ)
✅ 兄弟姉妹と介護費用や負担について話し合ったことがある(はい・いいえ)
✅ 介護が必要になったとき、誰が主に対応するのか家族で合意している(はい・いいえ)
✅ 親と「介護が必要になったときの希望」について話したことがある(はい・いいえ)
✅ 「はい」が0~5つの方へ
介護費用や生前対策が不十分な可能性があります。
いざというときに困らないために、今のうちに対策を進めましょう!